【発達の教科書】ADHD・落ち着きのない子は、なぜ落ち着けないの?

こんにちは。

赤ちゃん〜高校生とお母さん他のためのサロン

ママと子どもが輝くお手伝い・イロドリ

言語聴覚士・保育士・ユーファイセラピスト

三上愛です。



今日は

ADHDの診断がついていたり

落ち着きのない子は

なぜ落ち着くことができないのかについて

考えてみようと思います。





落ち着きがないの?それとも落ち着けないの?



ADHDや落ち着きのない子は

その子自身の落ち着きが足りないのでしょうか?


それとも落ち着きたくても落ち着けない状態なのでしょうか?


みなさんはどっちだと思いますか?




前者だと

子ども自身の問題のように感じてしまって

子どもにがわかるまで注意していけば

段々落ち着けるようになるのではないか

と勘違いしてしまうかもしれません。



実際に、保育園や幼稚園、学校でも

そのようなお子さんに先生たちは目を光らせていて

常に声かけ、注意ばっかりの対応になってしまっていて

いつも何かを注意されているという状況がよくあります。




でもでも。

ADHDや落ち着きのないお子さんは

本人も落ち着きたくてお落ち着けない状態にある

のだとしたら?


本人なりに頑張って

じっとしていよう、動かないようにしようとしているのに

そうできないのだとしたら?



声かけや注意だけでは

どうにもならないことがわかりますよね。



そうなんです。

ADHDや落ち着きがない子は



落ち着きたくても落ち着けないのです。



これは実際の支援の現場でも

お子さん本人からよく聞かれる言葉です。





ADHDや落ち着きのない子は

何が起きているのか?


では、なんで落ち着きたくても落ち着けないのでしょうか?

これを考えてみようと思います。



ADHDや落ち着きの無い子のほとんどは

目に入るものが次々に気になって

無意識にそちらに注目してしまう

無意識に気になるものを触ってしまう

衝動的にそこに向かっていってしまう

という傾向がみられます。



これはざっくりいうと

・目の動きの苦手さ

・感覚の未熟さ

・前頭葉の機能の未熟さ

が影響していることが多いです。

(厳密にはもっといろんなことが関係しています。)



そして

これらの機能のつながりが未熟

ということが考えられ



これらの機能を育てて繋げていくことで

落ち着いていられるようになっていきます。



目の動きには

じっと見ることや

瞬時に見るものを切り替えるなどの

様々動きがあるのですが


落ち着いていられない子のほとんどは

まず、じっと見るとうことが苦手なことが多いです。



なので、誰かが「これを見て!」と言っても

それをじっと見て注目することができずに

いろいなものに目移りするということが起こります。




そうすると

注目できずに他のことに気を取られてしまっているので

言われたことがわからなくなってしまい


いつもあの子はちゃんと聞いていない

ちゃんと見てないから分からなくなるんだよ!

と注意されがちになります。


でもそれは

注目することがしたくてもできない体なのであって

本人のせいではないのです。





次に感覚の未熟さですが

私たちは落ち着いて座っている時には

・自分が空間のどこにいて

・どんな姿勢で座っていて

・どんな硬さの椅子に座っていて

・体のどこが支えられていて

などが無意識にわかるようになっています。



これは

三半規管(前庭覚)

筋肉の感覚(固有受容感覚)

皮膚の感覚(触覚)

などが関係しているのですが


 ADHDや落ち着きのない子は

この感覚が鈍感だったり

感覚が敏感であったり

その両方だったりと

感覚のアンバランスさが目立つお子さんが多いです。



これらがアンバランスだと

空間のどこにいるかわらからなくて落ち着かない

自分の姿勢がどうなっているかわかりづらくてクネクネ動く

椅子などが体に触れるのが嫌で座っていられない

などが起きてきます。



この状態の体で

ピッと座ってというのは

けっこう拷問だと思いませんか?




また視覚や聴覚も感覚の一部ですが

これらが敏感で

音がなるとそれが気になる

視界に何か入るとそれが気になる

それで落ち着けないという子も多いです。



もし、そのような子が私たちがふつうにいる世界を

超絶音がうるさくてミラーボールがキラキラ眩しいカラオケのような場所に感じていたら?

落ち着け、集中しろと言われてもできないですよね。




そして前頭葉機能の未熟さ。

前頭葉機能にはいろいろな機能がありますが

衝動的に動きたいのをコントロールする機能もあります。


この機能によって

私たちは何かの集まりのような場所で

静かにしていなきゃいけない時に

気になることがあっても我慢してその場をやり過ごすことができるのですね。



ですが子どもたちは

このようなことたちはこの機能が未熟なので

衝動を抑えたくても抑えられないということが起きているのですね。

(私も夜中のおやつを食べる衝動は抑えられないケド。。)




ここまででも

子どもたちが落ち着けない原因をわかってもらえたと思いますが。


これらの機能はそれぞれが独立して動くわけでなく

全部が連動しているのですね。


なので、これらの機能をつなげることが大切になります。


いろいろ勉強されているママさんたちは

よく、このようなお子さんには


原始反射が残っているから落ち着けない

反射統合のプログラムをやればいい

というのをお聞いたことがあるかもしれません。

(原始反射のお話はまた後日詳しく。)



もちろんこれも一理ありますし

それで落ち着けるようになる人もいると思います。



ただ原始反射が統合されるということは

脳全体の機能が繋がって

前頭葉機能の力を十分に発揮できる状態

ということなので



統合するためのエクササイズだけをおこなってても

日常へ反映することは難しい場合もあります。



何事もバランス良く

機能をつなげていくことが大切になります。





今すぐ子どもにできることは?


ここまでで

子どもが落ち着けないには理由があって

声かけや注意だけではどうにもならないことが分かったと思います。



わかったけど、じゃぁどうしたらいいの?というお話になりますよね。


なかなか上記で説明したことをお家でやろうとしても

何をしたらいいのか、、、となると思いますし


その辺をどうするかは専門家が考えることですので。




なので、今回は

お家でできるお子さんの対応の方法の

お話をしたいと思います。



今すぐできる対応としては

・声かけをするときは必ず注目させてから声かけをする

・危ない行動は、その行動が成功する前に止める

・落ち着ける環境はどんな環境なのかを探る

ということです。



例えば

お家から出て公園へ行く時

公園に着いた時

スーパーに着いた時

スーパーでお菓子コーナーに近づいた時

など、

ある程ど

子どもがパーっとどっかへ行ってしまう場面が想定できると思います。


想定できる場面の直前で

子どもの行動を一回しっかりと止めて

体も顔もこちらに向けさせて

注目できるようにし

声かけをする。


この時のポイントは

子どもの行動を一回しっかりと止めること

が大切です。


落ち着きのない子は

注目するのが苦手なので

子どもの行動を止めない状態での声かけでは

こちらの声がBGMのように右から左へ流れてしまい

届いていないことが多いです。


行動を一回止めてしっかりと目線を合わせることで

声かけがBGMにならず

子どもが理解しやすくなる場合があります。


そしてできれば

人が少なく

雑音も少なく

気になるものが少ないところで

声かけをしてあげるとなお良しです。




それでも「うんわかった!」といった直後に

パーっと走ってどっかへ行ってしまう子もいます。


その場合は、走り出す前に

しっかりと手をつないだり


手をつないでくれない場合は

子どもの手首をちゃんと掴んだりして

パーっとどっかへいけないようにしてしまうこと。



パーっとどっかへ行ってしまうことができた場合

「勝手にどこかへ行くことができた!」という成功体験をしてしまうので

それを重ねることで強化されていきます。

その成功体験をできるだけ減らしてくことが必要です。

(パーっとどっかへ行くだけでなく、物を投げるなどにも応用できます。投げる前に物を取る、投げようとする手を止めるなど。)


子どもの行動も習慣が大きく関わるので

この積み重ねで落ち着けるようになる子もいます。




そして、落ち着ける環境を探ること。


私のところにもADHDや落ち着きのないお子さんがよくお越しになりますが

1対1の場面なら落ち着いて座って課題を行うことができる

という子がよくいます。



できるだけ気になるような物を置かない

目移りするような飾りつけはしない

声かけのトーンをその子に合わせて変えたり

声かけの量を少なくする

など、環境を整えています。



それをすると落ち着けるということは

落ち着く力があるけど

環境によって発揮できない

ということになります。



どのような場面で落ち着けるのかがわかると

周りの配慮の仕方もわかり

保育園、幼稚園、学校での対応のヒントとして

伝えることができます。



また、1対1の場面で落ち着けるのであれば

落ち着ける経験を積んでいき

それを習慣化して

そこから集団の中でも落ち着けるようにしてくこともできます。



落ち着けるとき、落ち着けないときの状況を

観察し比べてみるだけでも

落ち着けるヒントがたくさんあります。



*ただしこれだけでは当てはまらない子もたくさんいます。

その場合は個別の相談をお勧めします。





私がやる個別のアプローチ


最後に私が個別でおこなっているアプローチの一部を

ご紹介します。


私が実際に支援のときに個別でおこなうのは

まず感覚を育てることをします。


体を使って遊びながら

感覚入力をして

その感覚とその他の機能(前頭葉機能など)とつなげていきます。


揺れる

飛ぶ

回転する

逆さまになる

ぎゅっとなる

などなど

その子に合わせて様々。



それをした後に

落ち着いて座って集中できる

お子さんにあった課題をおこなって


落ち着いて取り組むことができた経験を積んでいきます。



子どもは楽しくないとやらないので

ちょっと頑張ればできた!!という達成感が持てて

かつじっくり集中して取り組める課題で

集中時間を伸ばしていきます。



その他にお母さんにヒアリングをして

お家で対応に困っている行動を分析し


この行動は止めたさせ方が良いが

これはできるならやらせてあげた方が良い

というアドバイスをさせてもらって


お子さんに合わせてどのような方法で止めるかまでを一緒に考え

家でも落ち着くために必要な対応をできる範囲でやってもらいます。



これにより

落ち着けるようになっていく子が多いです。





まとめると


ADHDや落ち着きのない子は

落ち着きがないのではなくて

落ち着きたくても落ち着けない状況にあり


実は本人も困っているということを私たちは理解する必要があります。



そして

・目の運動の苦手さ

・感覚の未熟さ

・前頭葉の機能の未熟さ

に対して体からのアプローチと


環境の設定をしっかりとおこなった状態で

落ち着いて何かに取り組めた!という経験を積んでいくということが大切になります。



ADHDや落ち着きのないお子さんには

感覚統合の視点からのアプローチは有効なことが多いなと感じますので

それを本格的におこなっているところを選んでいくのも

良いかもしれません。



ただし本当にいろんなお子さんがおり

今回ブログでお伝えしたことに当てはまらないという方もいらっしゃると思います。


また、言っていることはわかるけど、

お家でどうにかするのは大変ということもありますよね。




そんな時は

イロドリ流♪発達相談でのご相談をおすすめしています。


単発で終了よりも

お家でやってみて、それをまた共有して改善しての方が良いので

3回チケットがおすすめです。



実際にお子さんに今できる遊びの中でのアプローチと

お家での対応方について

一緒に考えていきましょう( ^ ^ )



悩んでいるよりも

一度ご相談くださいね!!



三上 愛

イロドリ代表、言語聴覚士、保育士
1986年生まれ、1児の母。

*経歴*
北海道医療大学卒
2009年北海道大学病院高次口腔医療センター・リハビリテーション部に就職
2018年イロドリサロン開業。

生後すぐの赤ちゃんから高校生までを診ることができる言語聴覚士
姿勢運動発達、口腔機能、非言語的コミュニケーションを生後すぐから育むことによって、言語聴覚士が関わる領域の困りごとの予防を行っています。
すでに困りごとがある幼児〜高校生までのお子さんへ、発達相談や言語レッスン(言語訓練)などで対応。単発相談から

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